その顔の赤み、“酒さ(しゅさ)”かもしれません|知られざる皮膚疾患と美容医療のアプローチ【取材先:よしクリニック様】

「鏡を見るたびに頬や鼻の赤みが気になる。」
「ファンデーションで隠しても、時間が経つとまた浮き出てしまう。」

そんな悩みを抱えている人は少なくありません。

一見「肌が弱いだけ」「血流がいい体質」と思いがちですが、実は“酒さ(しゅさ)”という皮膚疾患の可能性があります。

今回は美容皮膚科を専門とするよしクリニックの医師に、酒さの症状や治療法、そして美容医療の視点から見たアプローチについてお話を伺いました。

目次

「酒さ」は「赤ら顔」の一つ

まず、酒さとはどのような病気なのでしょうか?

“赤ら顔”という言葉はよく耳にしますが、それは単に“顔が赤い状態”を指す表現で、原因はさまざまです。

その中のひとつが“酒さ”と呼ばれるものです。

酒さは、頬や鼻を中心に慢性的な赤みや炎症が続く病気で、進行度によって4段階に分類されます。

初期は肌が赤く、ヒリヒリしたりチクチクしたりする程度ですが、次の段階になると毛細血管の拡張が見え始め、赤みが常に続くようになります。

さらに炎症が進むと、ニキビのような吹き出物が出てきて、まれに皮膚が厚くなるケースもあるようです。

一般的には第2期〜第3期の症状で受診する人が多いといいます。

“赤みが引かない”と感じた時点で、早めに皮膚科を受診してもらうのがよいでしょう。

明確な原因は不明、刺激を避けることが第一歩

酒さの原因は医学的にもはっきり解明されていません。

血管の過敏な反応、皮膚バリアの低下、紫外線や温度差といった刺激が複合的に関係していると考えられています。

悪化の要因としては、主に以下のような刺激が挙げられます。

  • アルコール
  • 香辛料や熱い飲食物
  • 強い紫外線
  • 精神的ストレスや寒暖差
  • 一部の化粧品や日焼け止めによる刺激

まずは刺激を減らす生活を心がけることが大切です。

酒さは“肌の炎症”なので、スキンケアを含め、日常から肌をいたわることを意識しましょう。

“完治”ではなく“コントロール”が治療の目標

酒さは“完治”を目指すというよりも、症状をコントロールしていく病気です。

治療は症状に応じて段階的に行われます。

軽度の場合は、炎症を抑える外用薬や内服薬が中心です。

特に日本では2022年に承認された“『ロゼックスゲル』(メトロニダゾール)”が、酒さ治療として唯一保険適用になっている外用薬です。

実際に使ってみて、1か月ほどで“赤みが落ち着いてきた”と感じる方もいらっしゃいます。

ただ、体質や刺激要因によって反応には個人差があるのが現状です。

さらに赤みが強い場合や血管の拡張が目立つ場合には、レーザー治療や光治療を用います。

血管に反応する色素レーザーや光治療は、拡張した毛細血管を収縮させて赤みを改善します。

よしクリニックでは肌の血管状態を画像解析装置で測定し、客観的に変化を確認しながら治療を行っているそうです。

保険診療と自費診療、どちらを選ぶべき?

酒さの治療は、保険診療と自費診療の両方が存在します。

日本ではまだ保険適用の治療が限られているのが現状です。保険が使えるのはロゼックスゲルと、一部のレーザー治療だけです。

そのため、保険診療で改善が得られない場合には、自費診療での治療が必要になる場合があります。

まずは保険診療でできる範囲を試して、それでも改善が不十分なら自費治療を検討するのが理想です。

最初から“美容目的”だけで受けると、本来保険でできる治療まで自費になってしまうこともあります。

クリニックを選ぶ際は、以下の点を確認してみましょう。

  • 保険診療に対応しているか
  • 医師が症状を丁寧に診断してくれるか
  • 生活改善の指導までしてくれるか

上記を確認しておくと安心です。

治療後の経過とセルフケアの重要性

外用薬の治療ではダウンタイムはほとんどありませんが、まれにかぶれなどの副作用が出ることがあります。

刺激を感じたらすぐに使用をやめて、炎症を抑える処置をします。無理に続けないことが大切です。

レーザー治療の場合は、一時的な赤みや紫斑(当てたところが紫色になる)が数日続くことがありますが、数日〜1週間ほどで落ち着くのが一般的です。

また、再発を防ぐためには、日常のスキンケアと生活習慣の見直しが欠かせません。

刺激の少ない化粧品を使う、しっかり保湿する、紫外線を避けるなど、酒さの治療では、肌への刺激を避けながら、少しずつバリア機能を整えていくことが大切です。

美容医療が支える“赤み治療”のこれから

酒さは、見た目の変化だけでなく、日々の生活にも影響を及ぼすことのある皮膚疾患です。

ただし、すべての顔の赤みが酒さというわけではなく、診断や治療には専門的な判断が欠かせません。

酒さは診断も治療も難しい疾患です。自己判断で“酒さかもしれない”と決めつけて自費治療を始めてしまうケースもありますが、まずは専門医に相談し、しっかり診てもらうことが大切です。

また、症状に応じた治療を丁寧に続けていけば、赤みや炎症が落ち着き、肌の印象が変わっていくケースも少なくありません。

「顔の赤みが続くと気持ちまで沈みがちになりますが、正しい治療を行えば改善する可能性があります。不安を感じたら早めに受診してほしいですね」と医師は語ります。

酒さの治療は、見た目を整えるためだけでなく、肌の健康を取り戻すための医療でもあります。

“美容医療=特別なもの”と構えずに、皮膚の不調を整える身近なケアの一つとして、気軽に医師へ相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

酒さは、“赤ら顔”の中でも医師による治療が必要な疾患です。

原因は人によって異なりますが、刺激を避け、肌をいたわりながら治療を続けることで、症状は十分にコントロールできます。

よしクリニックでは、肌状態を客観的に解析し、一人ひとりに合わせた治療を提案しています。

「長引く赤みやヒリつきがある」「自分の肌質が気になる」そんな方は、ぜひ一度専門医に相談してみてください。

あなたの“自分らしい美しさ”を取り戻すための一歩を、ここから踏み出してみてください。

よしクリニック 中野院長
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