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ハイフに、医療脱毛、シミ取り、それから、それから。
自分にそれなりにお金を注ぎ込んであげる。自分を大事にしてあげる。かわいがってあげる。そうすることで、自分がかわいく、綺麗になれる気がするから。
何歳になっても、可愛くて綺麗な私でいたいと思うのは普通のことなんだって思う。
時間が過ぎるたびに、歳を重ねるたびに、私はなにかを刻み込んでいく。
いいことも悪いこともたくさん、吸い込んでいく。
私の推しであるアイドルの彼が歳をとることと同じように。
時間をとめることはできない。
止められなくていいと思う。
だって止まってしまったら、彼が美しく歳を重ねていく姿が見られなくなってしまうから。
だから、私も一緒に歳をとっていくんだ。
彼と同じように、彼のように、上手に、綺麗に、美しく歳を重ねていく。
そう考えたら、歳を重ねることもいつのまにか怖くなくなっていた。
「推しくん、今日もかっこいいんだよねぇ」
「はいはい、今日も推しくんが大好きね、本当に」
友達が私の推しの話を受け流す。でもこうやって話をきいてくれるだけでありがたい。
「だって……好きだもん……」
「うん?」
「だめ?」
「いや、いんじゃない?」
友達はしばらく考えるようなそぶりを見せながら、私のことをじっとみつめる。
「だってね、あんた、推しと出会ってからめちゃくちゃ可愛くなったし、綺麗になったよ?」
サイリウム片手にテレビ画面の推しを見つめている私に友達がそう言った。
かわいい。綺麗。そんなこと、推しに出会う前は諦めてしまっていたような気がする。
「ほんと? かわいい?」
「うん、めちゃくちゃかわいい。美容医療ってすごいって思うし、推しのために綺麗になろうって思えるあんたも最高にかっこいいよ」
「ほんと? 推しくんより?」
「私からしたら、あんたの方がカッコよくて最高に綺麗よ」
そういって友達がぐしゃぐしゃとお風呂上がりの私の髪を撫でた。
「ハイフ、私も始めようかなぁ……」
「え? いい病院、紹介してあげようか?」
「え? まじまじ? お願いしようかな」
「まってね、この録画みたら、URL送るからさ……」
そういって私は友達の肩を借りながら、画面の推しくんに集中する。
綺麗な推しくん。大好きな推しくん。
君は知らないだろうけど、君に私は綺麗にしてもらっている。とっても救われているのだ。